15.ニンジャ潜入!

 “夜廻り猫の遠藤平蔵”じゃありません。ダンゴ君です。
 コバン矯正という重大な使命を帯びてスットコランドから(スコットランドじゃないんです)やって来ました。
 今回の任務にはコバンの激しい攻撃に耐え、忍耐強い取り込み工作を続ける意志が必要です。
 この顔を見れば納得です。一目見て選ばれました。

 仔猫とは思えない目付きの悪さにママはぞっこんです。
 ママはふてぶてしい猫が好きなのに、みんな大人になるとカワユクなってしまうのが不満なのです。

 ダンゴ君は期待どおりの強い子で、自分の倍もの大きさがあったコバンにひるむ事無く、無事任務遂行して見せました。

 しかし誤算もありました。
 耳が折れているスコさんは、他の猫に誤解されやすいです。
 猫は通常怒っている時に耳を倒します。しかもダンゴ君はこの顔です。ケンカを売っているとしか思えません。
 猫社会の常識が無いコバンは気にしませんでしたが、大人達はびっくりしてしまいました。これがダンゴ君の普通の顔だと認識するまで、あのドンごろーでさえ彼を避けていました(自分もスコなのに⋯)

 信じられないかも知れませんが、実はダンゴ君は甘えん坊です。
 あの顔で睨みながらママの胸によじ上って来ます!
 甘えたいのか文句が有るのか分かりません!!

2016-11-06 18:36 

17.女王陛下のダンゴ君

 おデン様と結婚するのがダンゴ君の夢です。ママに耳折れ同士は一緒になれないと聞いたので、一所懸命耳伸ばしもしました(成長に連れて立ち上がっただけでは?)
 でも体が大きくなったら、ボス猫ドンごろーが容赦しません。
 今までボスと言っても、自分より年上のゴンゴンとガンちゃんに小馬鹿にされていたドンは、年下のコバンとダンゴが来て大喜び。何かと威張り散らします。

 ママの入っているお風呂から水音がした時、ドンは後ろに控えていたダンゴ君に、顎を振って合図しました。「おめぇ見て来い!」
 この湖(お風呂)からは時々水しぶきが飛んで来ます(もちろんママがやっている)
 何かが居るに違いありません(ママが居る)
 もしかしたらネッシーかも(そんな訳ないでしょ)
 スットコランド(スコットランドじゃないのよ)の伝説を知っているダンゴ君は、怖くて見に行けません。痺れを切らしたドンごろーに背中を咬まれました。
「オラの命令が聞けねーだか!!」(ドンだって怖くて自分で見に行けないくせに)

 ドンごろーはおデン様に言い寄っては邪険にされています。
 おデンはドンが鬱陶しくてたまりません。
 パパとママに言いつけられたミッションが終了し、ドンの子分に成り下がっているダンゴ君に、憧れのおデン様がそっと囁きました。
「わらわのスパイになるのじゃ」

 ぼんやりしたお方にしか見えないおデン様ですが、実は頭がよろしいと言う噂もあります。彼女がダンゴに出した指令は恐ろしいものでした(ダンゴ君にとっては)

 やがて徐々にその陰謀が姿を現します。

2016-11-08 19:02 

18.ダンゴ君大作戦

「おはようフェルプス君!」(古くて皆知らない)などスパイに指令が届いても、テープは聞き終わったとたん燃えてしまいます(そもそもテープが届くまでに誰かに聞かれる心配は無いんでしょうか?) 電話は聞き返す間も無く切られてしまいます。「えっ!?住所をもういっぺんお願いしますっ」などと言ってはいけません。

 女王様の009 (9番目の猫だから)に任命されたダンゴ君の悩みは、記憶力にありました。

 食事をしてるふりをしながら指令を受けた彼は、これを覚えようと必死で暗唱します。
「わらわの寝床にドンを近づけてはならぬ。お前がおもちゃでドンの気を引いて遠ざけておくのじゃ」
 ドンごろーに聞こえてしまいそうですが、ドンはアホなので今の所大丈夫みたいです。

 ダンゴ君は表向きドンごろー配下の夜廻り組として、コバンと共に寝静まった縄張りを異常無いか見廻ります。その間におデン様からの指令を忘れてしまってはいけません。ダンゴ君が夜中にずっと一人でブツブツ言い続けているのはこの為です(この子本当にブツブツ言いながら歩くんです)
「おデン様の寝床にドンを近づけてはならぬ。僕がおもちゃで気を引いて遠ざけておくんだーっと」
「おデン様の寝床にドンを近づけて⋯えーっと僕がおもちゃで気が遠くに〜⋯??」
 たまに「わああああっっ!!!」などと凄い叫び声が聞こえて来ますが、ダンゴ君が指令を忘れてしまったんです。

 おデン様はお怒りですが、パパとママもうるさくて目が覚めます。
 朝になってもブツブツ言ってる場合は一晩覚えていられたようですが、お昼寝するとやっぱり忘れてしまいます。
 生まれつきのニンジャ(青猫)ではありますが、はたしてこんなおマヌケなダンゴ君にスパイが務まるんでしょうか?

2016-11-09 19:39 

44.ダンゴ君の贈り物

 下足番に降格されてからのダンゴ君は、おデン様のご機嫌を取ろうと一生懸命努力しています。シュレッダーの引き出しを開けて、紙くずを全部ぶちまけて見せた時には、おデン様もたいそうお喜びになりました。でも調子に乗ってコンセントカバーをかじり取って持って行こうとしたら、ママに見つかってすごく怒られてしまいました。

 それでもメゲずに何か献上品になる物は無いかと、毎日ブツブツ言いながら探し回ります。
「おデン様に差し上げるもの。おデン様に差し上げるもの⋯」「何をあげたら喜んで下さるかなー。やっぱ食べ物かな」「旦那様が食べてるアレがいいよなー」「アレを渡せたらきっと、お前はなんて狩りが上手なのじゃ、わらわの婿にふさわしいオスじゃ。なんて言われちったりして⋯」

 昨日はいつまでもパパにまとわりついて、トリの骨付きモモ肉を狙っていました。鼻先をペチペチ叩いて「ダメダメ」されても、ダンゴ君はなかなか諦めない性格なのです。

 このままでは、最近おデン様に気に入られ出したコバンにも、負けてしまいます。この家にやって来た頃、彼の半分の大きさしかなかったダンゴ君は、頑張ってゴハンをたくさん食べて追いつこうとしました。でも何故かコバンは、ダンゴ君が追いつきそうになると、突然ボワワンッ!と成長します。魔術が使えるのです。とてもかないません。

 ドンごろーはそんなダンゴ君に「おめの顔では、おデンに気に入られる訳がねえべさ」と言います。

「えー?そんな事ないですよ。長友さんだって可愛いアモーレと結婚出来るじゃないですか」「アモーレはオヤジ顔が好きなんだべさ。おデンは面食いだど。オラみてえなカワユイ男子にしか興味ねえだよ」
「そんな事ないやい! そんな事ないやいっ!!」

 ダンゴ君が騒いでいるので、意地悪なゴンゴンがやって来て言いました。「耳折れどうしは結婚出来ないって聞いてねーのかよ?」

「わああああああああん!!!!!」

ダンゴ君は涙を浮かべて、いつまでも転げまわっていたのでした。

2016-12-25 18:20 

75.ダンゴ君は2度死ぬ

「ダンゴ! ダンゴはどこじゃ!」「相変わらず呼んでも来ない奴じゃっ!」(女王様の憂鬱)

 ダンゴ君はおデン様の声で「はっ!」と目を覚ましました。

 そして信じられない場面を見たのです。

「おデン様とコバンが⋯ちゅ⋯!?」「え⋯!!!!!

「そうかっ! 耳折れ同士は結婚出来ない。だからおデン様は僕を諦めようと⋯」「つらい決断をなさったんだなぁ」「だったら僕もおデン様を諦めて他の人を⋯?」「でもうちにはあとはボンにゃんさんしか居ない」「それなのに彼女は僕を嫌ってる⋯」

「僕を完全に無視するし、追いかけると怒るし⋯」

 ダンゴ君がブツブツ言い続けているとゴンゴンが声を掛けました。

「バーカ!」「耳折れと短足も結婚出来ないんだぜ〜!」

 ダンゴ君は固まってしまいました。

「え〜? 何て言ったの〜? 僕聞こえなーい! 僕知らないも〜ん」
「僕一生結婚出来ないなんてこと無いよね〜 」
 目付きがおかしくなっています。

「女王陛下のダンゴ君」「ダンゴ君大作戦」もお読みになると、ナルホド納得です!

2017-03-16 18:15