284.ホラー映画で涼めるか?

 暑い時に怪談で涼しくなるという感覚は日本だけのようで、世界的には夏のホラーは”サメ”と決まっています。古典的名作からおバカが行き過ぎた果ての怪作まで、”サメ”の守備範囲は広いのです。”ワニ”もこれに対抗したいところですが、どうもイマイチぶっ飛べません。

「レプティリア」(2000年製作/アメリカ・監督トビー・フーパー)は”若者大騒ぎ後悔系”でお約束の展開です。しかしクリーチャー物では重要なはずの専門家が、唾を吐き続けるばばっちいジジィの上に何の役にも立ちません。さらにヒロインがドケチです。ワニに追いかけられて命からがら泳ぐ場面でもリュックを絶対に離さず、森を逃げ惑ってクタクタになっても背負い続けています。着替え程度しか入ってないのにですよ。飛行機からの緊急脱出時に手荷物を持って出ようとする人はよく居るので、リアリティがありますね(!?)

「THE POOL ザ・プール」(2018年製作/タイ)で危機的なのはワニではありません。人の忠告を聞かない主人公のおマヌケさです。間の悪さが極まってどこまでも外すのでイライラがつのり、怖くて涼めるどころか血圧が上がります。罵倒しながら見るのが好きな方には、とても楽しめる作品です。

 何故ホラー映画にはバカばっかり出てくるのかと怒らないで下さい。利口で慎重な性格だと怖い目に合わないので、話が成立しないではありませんか。

「犬鳴村」(2020年製作/日本)を見てみなはれ。アブナイ奴が走って来るというのに、いつまでもボーッと眺めてるだけで誰も逃げようとしませんよ。そして走ってくるスピードの割には、絶対に追い付かないように出来ているのです。

「キュア 禁断の隔離病棟」(2016年製作/ドイツ・アメリカ合作)はスイスの美しい風景がとても爽やかです。読み通りに間違いなく進む展開もまったり鑑賞出来ます。そして何より”ウナギ”が食べられなくなる効用があるのです。フトコロが寂しいのに家族にウナギをねだられたら、この映画を観せると役に立つでしょう。

2020-09-07