317.宇宙猫の見分け方

 ガンちゃんは賢くて優しい良い猫です。しかしその行動は、いつも不思議で不可解です。

 動きは驚くほど速いので、追いかけてもなかなか写真に収まりません。

 ふとした瞬間のショットが、“バケモノ化”していたりします。

 性格は頑固で、こだわりが強い性質(のはず)です。「わしの守ってた装置を、勝手に買い替えてしまいおって!!」

 その一方で新しいもの好きで、柔軟さもあるように見えるのです。「奥さーん! 試運転するから、スイッチカバーを外してちょ〜よぉ」

「新しい水場は、厳重なチェックがなければ使ってはいけませんっ!」ママが買った給水機が気に入らなくて、プンプン怒っていたのに⋯。

 しばらくすると、何事もなかった様にフツーに水を飲んでいます。「地球の水は美味いっちゃね〜」

 古いベッドを処分しようとした時には、尻尾でボールを掴んで立てこもりました。「俺の野球場は明け渡さねぇぜ!」

 けれどいつの間にか、ちゃっかり新品の方に入っています。「それが何かぁ?」

 突然ボンにゃんを攻撃したり⋯。「アンタ誰よっ!?」「✕☡⋚♐︎⦿☆⚡︎☠︎!!」ずっと可愛がって来たボンに、この態度はありえませんね。彼はガンちゃんじゃないのかも知れません。

「脱出カプセルの試験飛行をしてみますので、フードを閉めて下さい」これはガンちゃんのようです。宮殿育ちの王子で、ドアは必ず誰かに開け閉めしてもらっていたガンちゃんは、自分で開け閉めが出来ないのでした。

2021-05-08

315.おニューハウスでネンネしよう

 猫達が気に入った電車ハウスを、ママが買い足してくれました。「みんなちゃんと乗車しただか?」

「ふぇ〜い。むにゃむにゃ⋯」この車両には、外を見ながら居眠りしている乗客がいます。

 こちらの車両では、すでに気持ち良く寝入っていました。

「僕はやっぱりトラックの運転がしたいです」

「拙者はこのベッドを頂きましたのでな」確かにそのダンボールも、新しいのと替えてくれたんだけどね⋯。

「こんな宇宙船も届いたから、オラがチォックしとくずら」それ宇宙船じゃないと思うよー。

「異常無いようだから、まずわらわが使ってみるのじゃ」

「アタチも入ってみるのよっ」

「オレも乗ってみるぜぃ」「居心地は悪くなさそうだけどなっ」

「なーんか眠れねぇなオレ」今まで電車で爆睡してたんだから当たり前でしょ。「飛び立つ宇宙猫を、1匹・2匹って数えてると、眠くなるそうですよ」

「いったい何匹いるのか気になって、かえって眠れねえよぉ〜!」

2021-04-23

283.やっぱりまだまだ暑いのにゃ

あぢぃずら〜

あっついっ⋯

🔆🔥🔆🔥🔆🔥🔆🔥🔆

「暑さの峠は越えたと言ってなかったか?」「まだまだず〜っと暑いではないか」

「どこが暑いのでしょう」「快適な気候ではありませんか」

「そうだっちゃ」「これ以上気温が下がると寒いっちゃよ」(※宇宙猫の故郷は灼熱の星です)

「オマエら変だろー」「さすがのオレ様だってまいってるんだぜぇ」

「拙者は暑さをしずめる術をですな⋯」「会得しておりますのでな⋯」

暑いではござらんかー!

「修行ができてませんね」

「僕は忍者ですから」「この程度の暑さくらい へっちゃらですっ」

「暑さでへこたれては忍者の恥!」「気合いを入れれば どうってこと⋯」

「どうってことないですからねっ」「ちょっと休めばすぐ回復して⋯」

やっぱ暑いじゃないかー!

2020-08-31

277.洗濯機を替えたら⋯

え? 洗濯機を替えるのですか!?

「いけませんよ」「この機械は大切なものなのです」ママも気に入ってたけど壊れてるんだって。「いえ、壊れてなどおりません」故障続きだから新しいのを買ったの。「ダメですよ!」

「わしゃこの装置を守るのじゃ」ワン・アンそこどいてね。「わしを倒してどかしてみぃ!」何言ってるの、業者の人が来たわよー。

「ガタイの良いニンゲンを二人もよこすなど卑怯なっ!」「わしとした事が装置を奪われてしまったにゃ」

「アレが無いとどうなっても知らんがや〜」ちゃんと新しいのが届いたでしょ?「別のではいかんのにゃ。あれは特別な装置だったがや」まさか“神様メール(2015ベルギー映画)の洗濯機”じゃないわよねぇ。

「ワームホールが喪失したのかぁ」「新しく設定するのに何ヶ月もかかるらしいです」「迎えは来ないのでしょうか」「宇宙船もまだ修理中ですよ」「当分ここで雑魚寝だっちゃ」「タバさんとクスさんは何故宇宙猫にそっくりなんすか?」「その昔 初代クウ・ネルダス男爵が空から降りてきた美猫と恋に落ちてな」「それってもしかして あのお方じゃ⋯」アンタ達うるさいわよー。ママに見つかっても知らないからねっ。

「だからダメだと警告したでしょう」「しかも新しい機械のスイッチにカバーを掛けましたね」ママが、洗濯機の調子が悪くなるのは猫がボタン押すせいだろうって、操作できないように付けたみたい。

「これでは皆帰れませんよ」

ワームホールをつなぎ直しても

装置を動かせないじゃありませんかー!!」

2020-7-5

238.スタートリック・王子の守護者

「わしはワン・アン」「グフフ殿下の乳母を務めた者だっちゃ」ガンザニア王家では、乳母はボディガードを兼ねて、屈強な武者が務めるんだったわね。「わしはグフフ殿下をお守りする為に、息子のアン・ワンを殿下の侍従兼影武者に据えて、子猫の頃から鍛えてきたんじゃよ」

「こらアン・ワン! しっかり鍛錬しておるかに?」「あ、いえ、私はグフフ⋯」「そうだアン・ワン。たとえ身内に聞かれても自分は殿下だと答えるのだぞ」「私はちが⋯」「その調子だアン・ワン! どのようなことがあっても絶対に殿下のフリを続けるのだ」「だから⋯」「行けアン・ワン! 」

「走るのだー! 鍛えるのだー!!」

「わーーー!」

「息子は阿呆で手こずったものの立派な武者になりましてにゃ」今のはホントにアン・ワンかしら? 「わしが二人を育てたんよ。見れば分かるがや〜」

「ほれ。右が殿下で左がアン・ワン」「比べれば全然違うっちゃよ〜」右がクス・ネルダス男爵で左がタバ・ネルダス候だって。「それはその⋯わしゃ武道が専門だからじゃに」「⋯ここでも警備の者を訓練しておりましてにゃ」

「こら! しっかり戦わんか!」「せせ、拙者は呪術で戦うのでござるよ」

「地球の技はその程度か!」「うわぁ! 宇宙カンフーだぁ」

「この程度でまいるとは軟弱な忍者め。しっかりするっちゃ」「う〜〜」

「殿下に無礼を働く奴を 懲らしめるのもわしの仕事!」

「寝る時も薄眼を開けて 警戒を怠らないだっちゃ!」

※この物語はフィクションで、写真に写っているのは全部ガンちゃんですからねっ。

2019-10-17 20:31