184.お菓子をくれたらお祓いします!

「今夜はハロウィンでござる」「拙者も出かけるのでござる」

「おぉ! そうであったな。今夜の主役は黒猫じゃ」「町へ出て魔を祓い、菓子をもらってくるが良い」「皆様は行かないのでござるか?」「大人じゃからな」

「お菓子をもらえるのはコドモだけだぜぃ。オマエもう大きいだろ」「拙者はまだ子猫でござる」「そんなに でけーのにぃ?」

「拙者は大きくても子猫なのでござる」「菓子をもらえるのが子供だけなら、なおさら絶対に子猫でござる!」
「ガンちゃんも行かないのでござるか?」「私の加工は怖すぎると言われました」

「わあぁぁぁぁ!! 心臓に悪いでござる〜」「ショックで死人が出そうでござる〜」「家から出ないでくだされ〜」

「ダンゴはいっしょに行くでござるよね?」

「僕まだ頭が痛いんですー」「僕のぶんもお菓子もらって来て下さーい」
「では拙者ひとりで行ってくるでござる」

「はっぴ はろぅぃぃぃん!」

 今夜コバンが訪ねて行ったらお菓子をやって下さい。お礼に玄関を清めるそうです。

2018-10-31 00:00 

174.子猫大猫大きな子猫?

 日本猫の体格は、生後一年ほどで大体決まります。でも洋猫の中には、3歳くらいまでじわじわ大きくなる種類があるのです。まだ成長中(?)のコバンは、大きくなるにつれ、みんなに恐れられるようになってきました。

「アタチのそばに来ないでよー」「こいつアタチの3倍あるのよっ」

「遊ぼうでござる〜」「やだねっ!オマエでかすぎっ!」

「拙者はまだ子猫でござるよ」「どこが子猫なんだよっ」「わらわは知らんぞ。女王のわらわより大きな者など認めぬからな」「オラも知らねーだ。ボスのオラよりでかくなるなんて許せねーずら」

「拙者は大きくなってなんかいないでござるよ〜」「そうですよ」「コバンは最初からこの大きさです」「僕の倍の大きさのままです」
 それはー。ダンゴ君もいっしょに大きくなったからでしょー?
「え!? 僕たち大きくなってますか??」

 ほーら、見てごらんなさい。これが仔猫の時でしょ。そして今はね⋯。

「わーー!! 寝床が小さくなっているのでござる!」

2018-09-08 19:14 

154.陰陽師奮闘中!

 拙者は小判蛮八。宅配のお兄さんではなくて陰陽師でござる。
 殿や奥方様が外からお戻りになると、しっかりお清め(手をナメナメ)を行なってござるし、邪気払いもするのでござる。奥方様は時々悪霊召喚の儀式(ホラー映画鑑賞)を行うので油断ならぬのでござるよ。屋敷を守るのが拙者の仕事でござりますからな。

 この壁に結界を張って、悪霊が侵入できないようにするのでござる。拙者の強力な祈祷で、これまでこの家には一匹たりとも禍々しいものは入れておりませぬぞ。それでも奥方様はなかなか諦めてくれぬので、いつも頑張って防御し続けているのでござる。時間がかかって手ごわいのでござるよ。

 それに拙者は、奥方様のため毎朝欠かさず洗面水も清めておるのに、肝心の一番不浄な場所からは今も締め出されたままなのでござる。

 こここそ拙者が力の限り盛大にお祓い(水をバシャバシャまく)を執り行わねばならぬ場所。苦労して入ってもすぐにに追い出されてしまうのは何故でござろう。

 きっと奥方様は拙者の力をお認めでは無いのでござる。拙者はまだ子猫なので(とっくに大人だし大猫です)もっともっと大きくなって、より強力な魔術を繰り出さねばならぬのでござる。いつかあの結界の壁も壊して、二度と悪霊達がこちらを窺えぬようにしてみせるのでござる。

2018-05-10 00:21 

112.黒猫さんを探せ!

「今日は“黒猫感謝の日”とやらで、拙者も殿や奥方様に、何度も撫でてもらったのでござる。魔除けの黒猫達は、家内安全・無病息災に日々尽力しておりますからな。他柄の猫と違って特別に感謝される日があるのでござる」(本当は西洋で嫌われる黒猫を保護する為だと知ったら、コバンが泣いてしまうので内緒です)

 “友好遺伝子”を持つ黒猫さんは、悪魔の手先どころかフレンドリーで、可愛い子が多いのです。ただ問題は暗い所にいると見えなくて、踏んづけたり蹴っ飛ばしたりしてしまいます。

どこに居るか分かりますか?
「拙者はここにおるではありませぬか」

 暗闇では同化していて、突然動く影に驚かされます。

 そこに居ると分かっていてもよく見えないし、うまくピントが合いません。ママはコバンの写真は、ほとんどを調整してから載せています。そのままだと顔も判別不能な黒い塊になっています。黒猫は上級者向けのモデルなのです。

 すぐ目の前に居る時でさえ気付かない場合があったりします。新聞を読んでいるドンごろーは、コバンが自分の分のご飯を食べてしまわないか、心配して振り返っていますね〜。

2017-08-17 22:14 

97.ぼわわん!

 コバンを一言で表すと「もっさりしたヤツ」です。とにかくニブイというか空気読めないというか、何も分からない子なのです。家内安全・無病息災を願って連れて来た魔除けの黒猫なので、日々邪気払いやお清めに奔走し、現実社会の猫常識は通用しません。何か教えようとしてもキョトンとしているだけで、別世界しか見ていないのです。

 毎朝顔を洗う前に、洗面台で水を清めようとするコバンを、降ろさなければなりません。キッチンや風呂場さらにTVに映る滝なども、清めようと頑張ります。いちいちどけないと何も出来ません。しかも作業が終わって振り向くと、いつの間にか音も無く真後ろに座っていたコバンが「背中をお守りしておりました」などと言うので驚きます。ママがまたがないと自分でどく事はありません。普通の猫なら踏まれそうになれば慌てて逃げますが、コバンは動きません。

 トイレ掃除中にトイレの置いてあった所で寝てしまい、元に戻そうとしたらそのまま挟まれてしまったコバン。「こっ、これはどうしたことでござるか!?」
 彼が移動するのを期待できないので、持ち上げなければなりません。これが大変なのです。

「何が大変なのでござるか? 拙者はまだ子猫でござる」いいえアンタはもうとっくに大人ですっ! 巨大に育ちましたっ!!

 コバンの自己イメージ「そんなはずはござらん」

 実際のコバン(ゴンとガンが二人で入っている場所に一人でいっぱいになる大きさ)

 コバンの自己イメージ「拙者はもう“ぼわわんの術”を使っておりませんよ。大きくなるはずがありませぬ」

 “ぼわわんの術”というのは、少しずつとかいつの間にかではなく、ある日突然大きくなる不思議な成長術で、コバンが持っている魔力のひとつです。コバンはこれで、一生懸命コバンの大きさに追いつこうとするダンゴ君を、引き離して来ました。

 “ぼわわん”しなくても、毎日そんなに爆食いしてれば大きくなるんですよっ!

2017-05-29 18:05