433.隠れてにゃいよ

 連日の暑さにエアコン付けっぱなしになったぶんぶん家では、猫達の姿を見かけなくなりました。

「ドンごろー?ゴンゴン?なんで隠れてるの?」「オラは隠れてるわけじゃねぇずら」「オレは隠れたりしねぇぜ」どうやらクーラーの風が当たらない所に、引っ込んでいるようですね。

 これは椅子を風よけにしているのでしょうか。「オラはボスだで。隠れたりはしねぇだよ」

 おデン様は、棚の下に頭だけ突っ込んでお休みになっておられます。「うぅむ⋯苦しゅうない⋯」「⋯わらわは隠れたりせぬわ⋯」「オレも隠れてねぇよ」

 今度は玄関の隅におられますね。「わらわは隠れぬと申しておろう」「靴が好きなだけじゃ」お噛みにならないで下さいね。

「隠れるといえば僕の出番ですね」ダンゴ君は自信満々です。「僕は隠れ身の術のエキスパートですから〜」「こうやって転がってるだけで誰にも気付かれませんよ」みんな気付いてると思うけどー。

「僕はこうやって転がってるだけでね⋯」思いっきり気づかれてますっ。

「ダンゴはバカねっ」「隠れるのは毛皮と同じ色の場所じゃなきゃ」ボンにゃんも隠れてるつもりのようです。

「ほーら。アタチは居ない居ない居ないぃ」「アタチは誰にも見つからないぃ」はいはい。見えないフリしててあげましょう。

 見えない事にかけてはコバンも負けていませんよ。「拙者 奥方様をお待ちもうしておりました」「暗い廊下の真ん中に座ってるのヤメてね」「遊びませぬか」「真夜中でしょ!」

 ママが夜中にトイレに行くと、猫が沢山寝てるような気がする時もあるのですが、多分気のせいでしょう。

「オカンの考えすぎだぜぃ」「宇宙猫なんて妄想の産物さ」ゴンによると誰も隠れてないそうです。

 でも自分が悪事を働いて怒られると⋯。

「オレは居ねぇの。居ねぇって言っといて」ゴンが隠れようとするので、ガンちゃんが困ってます。「ゴンは居ないのだそうです」

2023-07-15

432.あっちこっちにアッチッチ

 ゴンゴンが溶け出すこの季節は、より涼しい寝床を求めて、猫達の移動が始まります。

 おデン様も、寝ている間にこぼれ落ちて、目を覚まされました。「暑いではないか」

「キッチンもあっついわよー」ボンにゃんは眠れないようです。

「リビングも暑過ぎですよね」ダンゴ君も目を覚ましてます。「移動しましょう」

「玄関のタタキは少し冷たいですよ」
「風呂蓋はイマイチね」
「蓋の上より床の方がましではないか?」

「洗面ボールなら冷たいでござるよ」コバンく〜ん!そこは寝てちゃダメな場所でしょ?

「オラはどこへ行けばいいずら?」ドンごろーは迷っています。

「ここは快適ですよ」ガンちゃんが呼んでいますが⋯。

「ここ すげぇあっちぃでねえかー!!」

 宇宙猫達は灼熱の星から来たんですよ。ガンちゃんの快適を信じちゃいけまへん。

2023-07-08

431.ぶん!ぶん!お手伝い

 “良い子”のぶんぶんキャッツは、何かあるとすぐ集まってきて、みんなでお手伝いしてくれます。

 ゴンゴンは特に“働くオヂサン”専門の係りで、作業の進行状況を見守り、気になる所を確かめたりもします。「シゴトはどうだい?」

「箱のチェックだって率先してやるぜぃ」

 こちらではドンごろーが、梱包材のお片付けをしていますね。「どこに持ってけばいいずら〜」

 ガンちゃんはママに、タオルのしまい場所を指示しています。「ここに入れると良いでしょう」

 ボンにゃんはパパのお仕事の監視ですね。「ととちゃまはアタチがいないとダメなのよ」

 ダンゴ君は書類の番をしています。「僕がしっかり守ってますから」

 この二人は、パパが食べきれないオヤツを、食べてあげてるそうです。

 ガンちゃん今度は、ママのエコバッグに匂い付けしてますね。「義母様の荷物がすぐ分かるように、ヨダレと鼻水も垂らしておきましょう」

 コバンはママの椅子でバリバリしていますね。「こうやって座り心地を良くするのでござるよ」

 お手伝いをし過ぎるとママに捕まって、おデン様のように強制退去させられます。「何故わらわも一緒にやらせないのじゃ」おデン様はお怒りですが、洗濯物を干すそばから、次々洗濯バサミをお盗りになるのです。

2023-07-01

430.にゃほん昔話・小熊兄弟 相撲の稽古

 昔々その昔。巣床村の猫浦ちゅう所に、黒と灰色のこぐま兄弟がおってな。毎日相撲を取り合って技を磨いていたそうな。

 黒熊の蛮八は他の熊達に「耳がとんがった変なヤツ」と除け者にされてここに来たのじゃが、巣床の猫達にも避けられておった。「拙者はクマではござらん」

 ひとりぼっちの蛮八の為に、耳が折れた灰色熊 弾九郎も貰われて来たのじゃ。「僕もクマじゃないですぅ」

 変わり者の二人はすぐに意気投合すると、いっしょに大きくなっていき⋯。「僕達クマじゃないし〜」「変わり者でもござらんよ」

 力を持て余すこぐま達は、鈍五郎親方に入門して、毎日指導を受けてな。

 疲れた時は、頑四郎に面倒を見てもらうようになったのじゃ。

 上達すると、巣床院お伝様の前で立ち合いを披露し⋯。

 力量が認められて、警備の仕事が与えられたそうな。

 厳しい白玉小ぼん姐さんに怒られることも多かったのじゃが⋯。「後ろもしっかり警戒なさいっ!」「前も後ろも見張るのでござるか」「後ろは僕に任せて下さいっ」

 こぐま達はそれからも、毎日欠かさず稽古を続けたので、親方ももう何も言わなくなったでな。

 やがてマムシの権三に襲われても負けないほどに成長し⋯。

 ついには権三と対等に戦うまでに強くなったのじゃった。

 そして二匹は今でも、巣床村で幸せに暮らしているそうな。「でも僕達 今でも下っ端のままですよね」「夜回り組から少しも出世しないでござるな」

2023-06-24

429.猫屋敷の怪・ファイナル

 運河をオバケが泳ぎ回っていたある日⋯。

 猫浦の空には、謎の「2」が飛んでいました。(↑クリックすると大きくなります)

 風もないのにガンちゃんの耳がひるがえり⋯。「今 誰か横を通りませんでしたか?」

 コバンは天井に何かを見つけたようです。「むむっ 怪しい影でござるな」

 おデン様は素早くお隠れになり⋯。「警備の者達 あとは任せたぞ!」

 しかしダンゴ君は首を盗られて動けません。「僕の首どこですかぁ!?」

 ゴンゴンは眠っている間に“猫又”になってしまったみたいで⋯。

 ボンにゃんの様子もオカシイのです。「ここはどこっ?アタチ空飛んでるっ!?」

 “あやかし”にかどわかされて幻を見ています。

 猫屋敷では時間がワープしたりグルグル進んだり⋯。

 外では行きつ戻りつして進みません。

 頼みのドンごろーも、永遠に捕まえられないネズミに手こずって、我を忘れていたのでした。

2023-06-17