412.いつもいっしょにネンネする

 ゴンゴンとガンちゃんは仔猫の頃からずっと一緒に寝ています。ゴンが先にウチに来て、ガンちゃんが来た翌日にはもう二人でくっついて眠っていました。

 仔猫時代のベッドが狭くなっても、ポジション争いしながら何とか収まって寝ようとします。

 こちらでは、ハミ出したりベッドごと落ちそうになりながら寝ています。

 いろんな場所で一緒に寝ます。

 ヒソヒソ話していたり、お出かけバッグでも一緒です。

 朝も昼も夕も夜も⋯。

 お互いの影になったり日向になったり⋯。

 毎日ナメナメし合います。

 そしてもちろん今夜も一緒で、14年経っても変わりません。「それが何か?」「羨ましいだろ」

 仲良しです。

2023-02-18

321.にゃほん昔話・巣床村のゴンガン爺

 昔々その昔。巣床村の猫浦ちゅう所に、子育て上手な二匹の爺さんが住んでおってな。

 次々に里子を預かっては、面倒をみておった。

 ガン爺さんは賢くて、ゴン爺さんは悪賢く⋯。

 たとえばメシの時に、ガン爺さんは自分の皿を譲って仔猫に先に食わせてやり、ゴン爺さんは仔猫から横取りして自分が先に食っておった。

 ガン爺さんは仔猫をよくしつけて、色々なことを教えてやり⋯。

 ゴン爺さんは仔猫をよく焚き付けて、色々な悪事を教えてやり⋯。

 ゴン爺さんにそそのかされて、ゴミ漁りが見つかり大目玉を食らった者や、進入禁止の蚊帳の中に誘い込まれて絡まっておった者など、皆が悪い事をすればひどい目にあうと、身をもって学ばされていたのじゃった。

 ガン爺さんは、仔猫達が大きくなっても、相変わらず可愛がってやり⋯。

 ゴン爺さんは、仔猫達が大きくなったら、別の意味で可愛がってやっていた。

 そして二匹は今でも、巣床村で幸せに暮らしているそうな。
 めでたしめでたし。

2021-06-05

317.宇宙猫の見分け方

 ガンちゃんは賢くて優しい良い猫です。しかしその行動は、いつも不思議で不可解です。

 動きは驚くほど速いので、追いかけてもなかなか写真に収まりません。

 ふとした瞬間のショットが、“バケモノ化”していたりします。

 性格は頑固で、こだわりが強い性質(のはず)です。「わしの守ってた装置を、勝手に買い替えてしまいおって!!」

 その一方で新しいもの好きで、柔軟さもあるように見えるのです。「奥さーん! 試運転するから、スイッチカバーを外してちょ〜よぉ」

「新しい水場は、厳重なチェックがなければ使ってはいけませんっ!」ママが買った給水機が気に入らなくて、プンプン怒っていたのに⋯。

 しばらくすると、何事もなかった様にフツーに水を飲んでいます。「地球の水は美味いっちゃね〜」

 古いベッドを処分しようとした時には、尻尾でボールを掴んで立てこもりました。「俺の野球場は明け渡さねぇぜ!」

 けれどいつの間にか、ちゃっかり新品の方に入っています。「それが何かぁ?」

 突然ボンにゃんを攻撃したり⋯。「アンタ誰よっ!?」「✕☡⋚♐︎⦿☆⚡︎☠︎!!」ずっと可愛がって来たボンに、この態度はありえませんね。彼はガンちゃんじゃないのかも知れません。

「脱出カプセルの試験飛行をしてみますので、フードを閉めて下さい」これはガンちゃんのようです。宮殿育ちの王子で、ドアは必ず誰かに開け閉めしてもらっていたガンちゃんは、自分で開け閉めが出来ないのでした。

2021-05-08

277.洗濯機を替えたら⋯

え? 洗濯機を替えるのですか!?

「いけませんよ」「この機械は大切なものなのです」ママも気に入ってたけど壊れてるんだって。「いえ、壊れてなどおりません」故障続きだから新しいのを買ったの。「ダメですよ!」

「わしゃこの装置を守るのじゃ」ワン・アンそこどいてね。「わしを倒してどかしてみぃ!」何言ってるの、業者の人が来たわよー。

「ガタイの良いニンゲンを二人もよこすなど卑怯なっ!」「わしとした事が装置を奪われてしまったにゃ」

「アレが無いとどうなっても知らんがや〜」ちゃんと新しいのが届いたでしょ?「別のではいかんのにゃ。あれは特別な装置だったがや」まさか“神様メール(2015ベルギー映画)の洗濯機”じゃないわよねぇ。

「ワームホールが喪失したのかぁ」「新しく設定するのに何ヶ月もかかるらしいです」「迎えは来ないのでしょうか」「宇宙船もまだ修理中ですよ」「当分ここで雑魚寝だっちゃ」「タバさんとクスさんは何故宇宙猫にそっくりなんすか?」「その昔 初代クウ・ネルダス男爵が空から降りてきた美猫と恋に落ちてな」「それってもしかして あのお方じゃ⋯」アンタ達うるさいわよー。ママに見つかっても知らないからねっ。

「だからダメだと警告したでしょう」「しかも新しい機械のスイッチにカバーを掛けましたね」ママが、洗濯機の調子が悪くなるのは猫がボタン押すせいだろうって、操作できないように付けたみたい。

「これでは皆帰れませんよ」

ワームホールをつなぎ直しても

装置を動かせないじゃありませんかー!!」

2020-7-5

238.スタートリック・王子の守護者

「わしはワン・アン」「グフフ殿下の乳母を務めた者だっちゃ」ガンザニア王家では、乳母はボディガードを兼ねて、屈強な武者が務めるんだったわね。「わしはグフフ殿下をお守りする為に、息子のアン・ワンを殿下の侍従兼影武者に据えて、子猫の頃から鍛えてきたんじゃよ」

「こらアン・ワン! しっかり鍛錬しておるかに?」「あ、いえ、私はグフフ⋯」「そうだアン・ワン。たとえ身内に聞かれても自分は殿下だと答えるのだぞ」「私はちが⋯」「その調子だアン・ワン! どのようなことがあっても絶対に殿下のフリを続けるのだ」「だから⋯」「行けアン・ワン! 」

「走るのだー! 鍛えるのだー!!」

「わーーー!」

「息子は阿呆で手こずったものの立派な武者になりましてにゃ」今のはホントにアン・ワンかしら? 「わしが二人を育てたんよ。見れば分かるがや〜」

「ほれ。右が殿下で左がアン・ワン」「比べれば全然違うっちゃよ〜」右がクス・ネルダス男爵で左がタバ・ネルダス候だって。「それはその⋯わしゃ武道が専門だからじゃに」「⋯ここでも警備の者を訓練しておりましてにゃ」

「こら! しっかり戦わんか!」「せせ、拙者は呪術で戦うのでござるよ」

「地球の技はその程度か!」「うわぁ! 宇宙カンフーだぁ」

「この程度でまいるとは軟弱な忍者め。しっかりするっちゃ」「う〜〜」

「殿下に無礼を働く奴を 懲らしめるのもわしの仕事!」

「寝る時も薄眼を開けて 警戒を怠らないだっちゃ!」

※この物語はフィクションで、写真に写っているのは全部ガンちゃんですからねっ。

2019-10-17 20:31