514.仁義にゃき戦い・セカンドステージ

 おデン様が旅立たれてから、猫達はみんな一緒に何かをすることがなくなりました。にゃごにゃご言いながら揃って朝の挨拶に来てくれたり、ずらっと並んで仲良く食事したり、全部おデン様の命令のもとに行われていたようです。

 従わなければならない強いおデン様も、かばってあげなきゃいけない小さなボンにゃんも居なくなり、オス達はそれぞれやりたい放題に暮らし始めました。

 ドンごろーはまだしょんぼり中。この前オヤツをもらっている時に、コバンに背中を噛まれ、びっくりして皿を譲ってしまいました。これは猫同士では、ボスの権限を手放したと解釈されても仕方ない反応です。今まで自分が他猫に噛み付いて、皿を譲らせてきた鈍五郎親分が、怒って反撃しないとは、さすがに衰えを隠せません。

 一方噛み付いた張本人の蛮八は、相変わらずのどかに“オツムがお花畑”しております。猫社会の掟をまったく知らないので、行いの意味を理解していないのです。

「うぅぅ⋯蛮八の野郎!」「生意気ずら」「ゆるさねぇずらよ」「オラが皿を譲っちまうなんてあっちゃならねぇだ」「ぜったい懲らしめたるだよ」

「なにっ?鈍五郎が皿を譲っただと!?」地獄耳忍者煙の弾九郎。後ろの親分の独り言を聞き逃しません。

「なにっ?鈍五郎が皿を譲った!!」目ざといマムシの権三も、異変に気づきました。

「ついに戦国時代到来っすね!」「僕はこの時を待ってましたよっ!」

「下剋上だーーーっ!!」「ぎゃははははははは!」

「ばーか!最後に笑うのはこのオレ様さっ」「いひひひひひひひ!」「おめぇなんぞ10年はえぇんだよ!」

「どいつもこいつもアホこくんでねぇずら!」「オラが簡単に負けると思うけ?」「返り討ちにしてやるかんな!!」「ぐははははははは!」

 仏の頑四郎だけは、争いに興味なさそうです。「勝手にやってくださーい」

 そして図らずも次期親分候補No.1に躍り出た蛮八は⋯。

「ぐへへへへへへっ」「これからはオヤツを真っ先にもらえるのでござるな!」

 ゴキゲンですが、体が大きいだけでヘタレです。大丈夫でしょうか。

2025-06-15

309.仁義にゃき闘い

 今日もまた(不毛な)戦いに明け暮れるヤクザなオトコ達。

 凶悪さならNo.1“マムシの権三”VSやられたらやり返す“鉄砲玉の弾九郎”

 狭い場所に追い詰められた弾九郎。必死の反撃に出る!(後ろで身動き取れず固まる蛮八)

 弾九郎をやり込められず面白くない権三。通りがかりの“大親分鈍五郎”に激しい威嚇で嫌がらせ。しかし敵わないと分かっているのでそのまま通過。

 一方 弾九郎は最初から大親分にビビり気味。早々に退散。

 その頃権三は次の標的“ヘタレの蛮八”に狙いを定め、蛮八は逃走を図るが⋯。

 大きくても戦闘能力低めの蛮八 捕まって悲鳴を上げてもがく! だがこの後何者かが突然権三に体当たりし、蛮八を解放して風のように去る。それは一瞬の出来事であった。

「オメェどういうつもりだよ」「オレの獲物を逃しやがって」蛮八を助けた“仏の頑四郎”を、腹いせにイジメようとする権三。

 しかし彼は頑四郎ではなく、宇宙最凶の刺客“稲妻のワン”であった。一撃必殺の牙がキマり、苦しむ権三。「わしに喧嘩を売るとはいい度胸じゃのぅ」「た、助けてっ⋯」

 そしてまた懲りない面々の果てしない戦いが、どこまでも続くのであった。

2021-03-12